テレビでの電子商取引(EC)が可能となる / BSデジタル放送の開始

テレビは、00年12月、BSデジタル放送の開始でEC端末に変化していく。個人ユーザーにパソコンと携帯電話に並んでECサービスを配信できる。

BSデジタル放送は高精細画像番組を提供するテレビ放送とECサービスのインフラとなるデータ放送からなる。データ放送ではHTMLに似た言語で記述したページをテレビに配信できる。インターネットのWebサイトと同じように、オンライン・ショッピング・サービスを提供したりできる。

住宅、不動産企業も様々な形で導入を検討している。BSデジタル放送の受信機は今後、急速に普及することが見込まれている。テレビは壊れたり、古くなったりして、デジタル放送受信機へと自然と置き換えられていくからだ。

多様な企業が期待するEC端末としてのテレビの魅力は、あらゆる客層が集まるお茶の間に向けてECサービスを提供でき、パソコンや携帯電話ではカバーしにくかった、高齢者や主婦を顧客として取り込めるようになる。テレビのECサービスはリモコンのボタン操作だけでアクセスできるようになっている。

BSデジタルのデータ放送でECサービスを提供するには、まずデータ放送局の番組枠を確保する必要がある。各データ放送局は、固有のチャンネル番号をもっており、ユーザーはリモコンなどでチャンネルを切り替えて、データ放送局の番組を見る。データ放送局の番組は、2種類に分かれる。1日中番組を提供できる「終日型」と、10分間や1時間といった単位で放送する「時間限定型」である。終日型の番組枠で提供するECサービスはインターネットでのサービスに近い。ユーザーが好きな時間にいつでもアクセスしてもらえる。時間限定型は、テレビ放送の情報提供番組(グルメや旅行など)やショッピング番組に近いイメージ。テレビ放送と違うのは、アンケートを取ったり、商品を販売したりする双方型のオンライン・サービスを提供できることである。

テレビでのECサービスの制約は主に2つある。1つは、放送が一斉同報のメディアであること。もう1つは、テレビの操作性がパソコンよりも劣ることである。

一方向で、一斉同報のメディアでは、多くのユーザーに受け入れられるような情報や商品をサービス提供者側で選んでおき、「これがお薦め」と訴えるタイプのサービスが中心となる。インターネットのWebサイトのように、多数の選択肢を用意して、好みのものを選んでもらうサービスは提供しにくい。

キーボードやマウスの付いてないテレビは、「操作性ではパソコンにかなわない」。携帯電話でのECサービスと同様に文字入力などはできるだけしなくて済むような工夫が必要である。画面に表示できる文字数が、パソコンと比べて少なく、1ページの情報量に限りがある。

01年後半には、東経110度CSデジタル放送開始に合わせて、次世代の受信機が登場する。次世代受信機で大きく期待されているのは、ハードディスクを備えることによって、蓄積型のデータ放送が可能になることである。蓄積型のデータ放送では、大容量のコンテンツを配信できるようになる。放送局やユーザーが選んだ番組を、視聴の前に配信して、ハードディスクにためられる。ハードディスクにたまったコンテンツは、ユーザーが好きな時間に閲覧できる。56Kビット/秒の高速モデムを搭載し、インターネットとの接続機能を持つことにより、双方向サービスも充実する。衛星放送で気に入った靴を見つけたとき、その色やサイズを選ぶのにインターネット上のWebサイトにアクセスするインターネットとの連動が可能になる。01年後半に登場する次世代受信機以降の動向に期待しよう。

■関連記事
  不動産仲介のEC活用法
      

おすすめ記事