2011年後期の不動産市場の現状と展望
1、国内景気並びに欧州債務問題など世界経済動向
■国内景気動向
目にはさやかに見えねども、日本経済は緩やかな回復軌道を描いている。東日本大震災後の3、4月には大幅に国内景気は落ち込んだが、サプライチェーンの予想外に速い復旧など生産の回復を受けて輸出は増加基調、家計調査の実質消費額も緩やかに回復し、国内経済は持ち直してきている。相俟って不動産市場もマンションやオフィス市況が持ち直してきた。10月21日には第3次補正予算案が閣議決定され、来年は復興需要も本格的に動き出し、さらに回復に弾みがつくと期待されている。
しかし、ここにきて円高や海外経済の減速に加え、タイの洪水被害から国内景気の雲行きが怪しくなってきた。俄かに暗雲が垂れこめ、下降懸念が強まってきた世界経済やこれとリンクする日本国内景気の先行き不透明感が足元で不動産市場に影を落とし始めている。
現状と今後のGDP四半期別の推移予測を見てみよう。社団法人経済企画協会が11月11日発表したESPフォーキャスト調査(民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)によると、2011年7~9月期の実質成長率年率は急回復が見込まれ、前月調査から5.82%に上方修正された。しかし、10~12月期は2.09%、12年1~3月期2.54%と大幅に低下し、それ以降13年1~3月期の1.55%まで徐々に低下していくと予測されている。
直近で発表された経済指標も回復軌道の下振れを示唆している。まず設備投資の先行指標となる機械受注だが、内閣府が11月10日発表した機械受注統計によると、10~12月期の見通しは前期比3.8%減少となった。4四半期ぶりのマイナスとなる。7~9月期の実績は1.5%増加したが、伸び率は鈍化した。円高や海外経済の減速を受け、企業が投資に慎重な姿勢を強めていることが背景だ。
内閣府から同日発表された10月の「消費動向調査」も消費者心理を示す消費者態度指数は前月と同じ38.6で、内閣府は「消費者マインドは持ち直しのテンポが緩やかになっている」と基調判断を下方修正した。下方修正は6ヶ月ぶりとなる。製造業の残業時間の減少や冬のボーナスが減るとの見通しが響いた。10月は全4項目のうち「暮らし向き」と「収入の増え方」が悪化した。海外経済の減速や円高の影響が所得を通じて家計に及び、個人が消費に慎重になりつつある。
また日経グループのQUICKが9日発表した11月の短期経済観測調査(短観)によると、製造業の業況判断指数(DI)はプラス9と、前月(プラス8)に比べて1ポイント小幅改善した。一方で、今後3ヶ月で業況判断がどのように変わるかを答えた「先行き」DIは前月と同じマイナス1にとどまった。同調査は円高や海外経済の減速懸念を背景に、企業や家計が慎重姿勢を強めているとしている。
■欧州債務問題など世界経済動向
海外経済の減速の主因となっている欧州債務問題だが、ここにきて風雲急を告げてきた。ソブリンリスクがアテネからローマへ伝播、より事態は深刻化した。ギリシャと違ってイタリヤはEU圏では独、仏に次ぎNo.3の経済規模を有し、国債の発行残高は最も多い。ドイツ国債市場規模の1.1兆ユーロを上回り、1.8兆ドルの規模を持つ。イタリヤ国債は欧・米の機関投資家をはじめ日本国内では3メガ銀行グループ、大手生保が保有している。もしイタリヤ国債がデフォルトすると、信用不安の激震が世界中を走る。その震度の大きさはギリシャの比ではない。
欧州の信用不安が増幅していけば実体経済で世界景気そして日本国内景気に大波乱を呼ぶのは必至となる。「欧州債務問題の深刻化」→「世界景気後退」→「外需依存の日本の輸出減」というシナリオと「ユーロ安」→「円高」という負の両サイクルから日本経済は回復軌道から暗転してリセッションへ転げ落ちていく。欧州債務問題は日本にとって決して対岸の火事ではなく、グローバルで金融市場・実体経済と密接にリンクしているのだ。
イタリアでは政府債務残高の多さやベルルスコーニ政権への不信感が強く、市場の不安心理から売りを誘っている。10年物国債利回りは年初は4%だったが、7月には5%と「避難勧告水域」入ったので、8月上旬からECBが断続的に買い支えていた。しかし投資家の売り圧力が強く、11月9日に欧州の精算・決済機関が証拠金引きを引き上げたことが引き金になって、危険水域の7%を超え、同国の財政運営リスクが急速に高まった。10日は一時6%台まで下がり、ベルルスコーニも辞任、財政安定法案は11日上院で可決し、一旦は鎮静化を見せているが、市場不安はなお根強い。
このところマーケットは欧州の債務問題で乱高下しているが当該問題は短期間で容易に解決できないと見られている。ここにきてEU圏全体の実体経済が下振れしており、「イタリヤの次はスペイン」と次々とソブリンリスクが飛び火する不安が収まりそうにないからだ。EUはEU圏を構成する勝ち組みドイツに代表される中核国とギリシャなど貧しい周縁国間に大きな経済格差が横たわり、さまざまな国内事情もある。これらの国々がEUという集合体の箱に無理やり入れられていることからくる矛盾や脆弱性を覆いきれなくなっている。さらにこの問題の根の深さや解決の困難さはEU圏内で起きている負の連鎖が断ち切れないところに起因している。
連鎖の構図はこうだ。被支援国の財政危機を支援する国はその条件として財政再建のため被支援国の歳出削減を要求する。その結果、リストラ・賃金カット、年金・社会保障費の削減が行われるので被支援国の国内景気がさらに悪化して、税収が減り、財政悪化が増幅する。財政悪化で当該国の国債の償還が危ぶまれ、当該国債を保有する銀行の信用不安が高まる。銀行の自己資本の強化のため公的資金が銀行に投入され、財政危機がさらに悪化する。銀行のバランスシートの強化は、貸し渋りを招き、被支援国の景気をさらに悪化させ、その結果、財政危機が加速する。
このような負の連鎖から脱け出すため、EUは欧州金融安定基金(EFSF)の枠組みをまとめた。EFSFの資金拡大で、債務危機がイタリア、スペインなどに及ぶのを防ぎ、周縁国の国債市場を支えるためだ。しかし、具体的なスキームは模索中で未だ構築されていない。
欧州債務問題の先行きは不透明で、この先どうなるのか誰にもわからない。イタリヤ、スペインのソブリンリスクが臨界点に達してEUの崩壊、世界恐慌まで進むのか、EU圏内諸国やIMF、欧州中央銀行(ECB)の努力で徐々に危機が鎮静化するのか全く視界不良なのだ。
一方、景気減速懸念が取り沙汰されている米・中景気だが足元で回復を裏付ける経済指標も出ている。米労働省が発表した11月5日終了週の新規失業保険週間申請件数は前週比で1万件減の39万件となり、4月初旬以来の低水準となった。減少は2週間連続。市場予想の40万件を下回った。40万件という数字は雇用に改善が見える目途とされている。
また、11月1日のロイターによると中国のHSBCが1日発表した10月の中国購買担当者景気指数(PMI、季節調整済み)は51.0となり、前月の49.9から上昇した。改善と悪化の節目となる50を上回るのは6月以来。HSBCの中国担当エコノミスト、Qu Hongbin氏は「PMIは、国内外の市場からの新規ビジネス増加を背景にした中国製造業活動の著しい改善を確認する内容となった」と指摘した。
中国の10月の消費者物価指数(CPI)も去年同期と比べ5.5%の伸びとなり、今年下半期においてCPIの伸び率が6%台を下回ったのはこれが初めてで、インフレの鎮静化が見られる。中国の経済減速をもたらした金融引き締めが政策転換される可能性がでてきた。
米中経済にポジティブ材料が出たとはいえ、米中の景気動向改善が順調に進んでいくのかは、今後の欧州の債務問題の鎮静化にかかつていることは言うまでもない。
2、不動産市場動向
話を日本国内の足元の不動産市場に戻そう。2011年のこれまでを振り返ると3月11日に起きた東日本大震災で不動産購入の様子見姿勢が強まり、市場は一時的に停滞したが、概ね5月以降は不動産市場は回復傾向にある。
国土交通省が発表した2011年7月1日価格時点の基準地地価は、東日本震災後の地価動向を反映したものとして注目された。全国の全用途平均で前年比3・4%下落したが、前年の3・7%から縮小した。震災後に限れば、東日本を中心に再び下落基調が強まったが、西日本の商業地は持ち直し傾向が続いている。
日経ヴェリタス2011年10月23日号は、8月から9月にかけて三友システムアプレイザルと共同で全国197人の不動産鑑定士から地価動向を聞き取りした「体感地価」を掲載している。現時点で住宅地が概ね半年前から「上昇」または「やや上昇」していると強気の回答をした人の比率は3%にすぎなかった。だが半年程度の先行き見通しについて聞くと、強気が15%程度増え、東京圏の住宅地に限れば2%が24%に増える。同誌は東日本大震災で冷え込んだ地価に明るい兆しが見えてきたとしている。
大口需要先の取引量も持ち直している。都市未来総合研究所発表の「不動産売買実態調査」によると、上場企業やJ-REIT、SPCの取引金額も、2011年Ⅲ期(7~9月)は前年同期比+16%と増加に転じた。ただ月別にみると例年不動産取引が増加する9月の取引額は前年同月に比べ大幅に減少した。同調査は「事務所ビルの取引額が減少したのが目立つ」と指摘している。
■オフィス市況
東京、大阪、名古屋、福岡とオフィスビル市況は緩やかな回復の兆しが見えてきた。3年にわたる賃料の値下がりを背景に企業の移転意欲が高まり、空室率は低下傾向となっている。賃料の下落も小幅になってきた。
三鬼商事がまとめた9月末の東京都心5区のオフィスビル平均空室率は8.64%。前月比で0.01ポイントと小幅ながら低下し、6ヶ月連続で下がった。大阪の空室率は前月比0.25ポイント低い11.24%、名古屋は0.07ポイント低い11.84%、福岡は0.10ポイント低い13.73%となった。福岡の空室率が13%台と最も高く、大阪、名古屋も11%を上回る高水準だが低下傾向は続いている。
さらに三鬼商事の10月末の調査レポートを見ると、各都市でマチマチの動きになっている。東京都心5区平均空室率は0.14ポイント上がって8.78%、大阪も0.54ポイント上昇して11.78%となっているが、名古屋は0.04ポイント下がって11.80%、福岡でも0.49ポイント下がり13.24%と改善している。東京都心5区の空室率の上昇は7ヶ月ぶりとなり、5~6月頃に活発化した企業のオフィス移転の動きも、欧州債務問題などでテナント企業の移転意欲が後退し、東日本大震災以降の市況回復傾向が一服したという観測も出ている。
オフィス賃料は、リーマンショック以降3年連続の長期下落を経て値ごろ感が生じ、移転需要が盛り上がってきている。日経紙11月10日記事によると、「ビルに高い耐震性を求める動きが拠点統合の流れと相まって、完成から間もない大規模ビルへの引き合いにつながっている。「合併やグループ統合などに伴い、まとまった面積が必要になり、新築の大規模ビルが移転先の候補になることが多い(三幸エステート)」
しかし、日本経済新聞のオフィスビル賃貸料調査(下期、10月中旬実施)によると、オフィスビル賃料の下落傾向が依然として続いている。「東京の既存ビル(築後1年以上)の募集時賃料は3年連続で下落した。募集賃料の水準を指数にしたオフィスビル賃貸料指数(1985年2月=100)は、東京で既存ビルが115.14と前年同期比10.70ポイント低下した。新築ビルは同1.64ポイント高い124.78。大阪は既存ビルが122.81と0.97ポイント上昇。新築は12.28ポイント低下し112.87だった。」
東京都心では賃料下落は続いているものの、下落幅が縮小しているという市場認識が多いが、賃料底打ちから反転へ動き始めたと見れる先行データもある。 三幸エステートとニッセイ基礎研究所が開発した成約賃料データに基づく「オフィスレント・インデックス」(2011年7~9月期)をみると、「東京都心3区の成約ベースによる賃料指数は大型ビルで2四半期連続のプラスを記録したのに続き、大規模ビルも15四半期ぶりの上昇に転じた。大型ビルで賃料の底打ち感が強まったのに続き、大規模ビルも大幅な改善を記録したことで、東京都心3 区のオフィス市況は3年以上にわたる下降局面を脱し、回復軌道に乗る可能性が高まってきた。 対前年同期変動率は全ての規模でマイナス幅が縮小しており、市況回復への動きがマーケット全体に広がり始めた」としている。
成約賃料に基づく当該データは、募集賃料を基に計算されたインデックスに先行して動く特性があることから、東京都心部のオフィス賃料が下落から反転に向かつているといち早く認識されたデータともいえる。とはいえ、オフィス賃料回復はオフィスビル全体に波及する可能性は今のところ高くない。ビルの新旧や耐震性の格差でテナント需要が二極化しているからだ。日経紙11月10日記事を引用すると「シービー・リチャードエリスによると、東京で各地区を代表する大型ビルの賃貸料(成約ベース)は11年3月末を100とした場合、9月末は築年数の浅いビルが100・4、古いビルが99・1だった」。
オフィス市況の今後を展望するうえで不動産実物市場とリンクするJ-REIT市場の足元の軟調さが気がかりだ。特にオフィス系リートの株価が下落している。J-REIT市場低迷の背景には欧州債務問題による投資家のリスク資産圧縮や世界経済減速によるオフィス市況下振れ懸念があるようだ。
11月9日のJ-REIT市場で東証REIT指数は872.69と連日で年初来安値を更新し、2009年12月24日以来の安値水準となった。国内REITで運用する投資信託から個人の資金が流出。さらに年前半に買った持ち高の含み損を抱える銀行の買い手控えが続き、市場を支えてきた日銀のREIT購入額も減少していることが市場軟調の要因になっている。
オフィス市況動向と相関性が高い企業の設備投資動向で先行指標となる機械受注の10~12月期見通しが前期比3.8%減少となり、オフィス市況回復が遅れそうな気配が足元で出ている。しかし、欧州債務問題や超円高が好転し、世界経済の減速懸念が後退すれば、オフィス市況は、さらに回復軌道に乗ると考えられる。J-REIT市場もオフィス市況回復の手応えが強まれば足元で予想分配金利回りは5.94%と割安感が高まっているので、投資家の見直し買いが入り、市場回復が進むと考えられる。
■住宅市場
住宅市場は分譲マンション、戸建住宅ともに東日本大震災後の停滞から首都圏などで回復傾向にある。「ゴールデンウィーク以降は、震災後の買い控えから脱し、客足は回復している」という。新設住宅着工戸数は、7月95.5万戸(年率換算)、8月93.5万戸(同)と高い水準となり、4月から5ヶ月連続で前年を上回り、2011年度の8月までの累計戸数は前年同期に比べて1割近く多い。しかし、9月の新設住宅着工戸数は6万4206戸で、前年同月より10.8%減った。下げ幅が2ケタとなったのは2009年12月以来となる。
住宅エコポイントが付与される最終月となった7月の新設住宅着工戸数は8万3,398 戸の前年同月比21.2%増と二桁の大幅増加となり、駆け込み需要による一時的な影響が大きかったと見られる。反面、9月の落ち込みは住宅エコポイントが今年7月末の着工分で締め切られたことなどが響いたようだ。
分譲マンションだが、不動産経済研究所によると、9月の首都圏の新規発売戸数は前年同月比16・7%増となり、震災前の2月以来7ヶ月ぶりの2ケタ増となった。契約率も77.7%で前年同月比2.8ポイント、前月比7.8ポイントと共に上昇となった。2011年度上半期(4~9月期)の発売戸数は前年同期に比べ8・9%減ったが、9月単月ではマンション販売の回復が鮮明となっている。一方、近畿圏の上半期の発売は9583戸で、前年同期比15・2%減。9月単月でみても前年同月比7・3%減で、発売月に契約が決まった戸数の割合(契約率)も66・2%と好不調の分かれ目を示す70%を2ヶ月連続で下回った。
首都圏の新築マンションの供給は足元で増加している。東京カンテイは2011年の首都圏1都3県の新築マンションを不動産各社が東日本大震災の後に販売を見合わせたことを受け、いったん4万戸程度下方修正していたが、不動産各社が夏以降に販売意欲を高めたことを受け、4万3,000戸程度に改めて上方修正している。
東日本大震災以降、購入者に緊急時の防災管理設備や耐震性の要求が高まった。大震災以後の新築マンションは、震災対応のため、非常用電源装置、太陽光発電、災害用品の備蓄などを備えるマンションが多い。このような購入者の意識変化から、中古より新築を選ぶ傾向が強まり、新築高・中古安が鮮明となっている。
日経紙11月11日記事では、東京の中古マンション市場で下落基調が続いている。東京カンテイがまとめた東京23区の中古マンション価格(70平方メートル換算)は9月に4,116万円と前月比0.6%、前年同月比で4.7%下がった。前年同月比では7ヶ月連続の下げとなる。千葉市の中古マンション価格は1,787万円と前月比1.1%下落、前年同月比で4.1%下がった。東京湾岸地区での液状化被害などの後遺症もあり、相場の頭が重い状況が続く。千葉県全体でも前年同月比0.7%下落した。
※出典:日本経済新聞掲載 東京カンティ調べ 70㎡換算主要都市別 中古マンション価格(単位万円)
建売・注文住宅など戸建住宅も大震災後の停滞から脱してきた。不動産市場を分析するアトラクターズ・ラボによると「首都圏の新築戸建て住宅の平均販売価格は5月に3,437万円と4月から3.2%下がったが、9月には3,635万円とと震災前の2月の価格(3,566万円)を上回った」(日経ヴェリタス2011年10月23日号)としている。
供給サイドの住宅大手経営者の足元での景況感も好転している。「住宅生産団体連合会が10月27日発表した住宅大手経営者の景況感調査によると、2011年7~9月期の景況判断指数(「良い」の割合から「悪い」の割合を差し引いた値)は受注戸数がプラス20、受注金額は同30となった。受注金額は7期連続してプラスだった。10~12月期の見通しは戸数が同50、金額が同47と引き続き大幅なプラスを見込んでいる。7~9月期は東日本大震災の復興需要が全体を押し上げた。分野別では、戸建て注文住宅が戸数が同9、金額が同6とプラス幅が1桁となったが、8期連続のプラスを維持。戸建て分譲住宅は戸数・金額共に同21で、2期連続のプラスとなった。低層賃貸住宅も戸数が同18、金額が同41となり、4期連続でプラスを維持した。10~12月期の見通しでは一部で世界的な景気の減速や住宅取得支援策の終了・縮小を懸念する声もあったが、全体としては震災復興やエコポイントの復活など支援策の効果によって戸数・金額ともに大幅なプラスを見込んでいる。 」(日経産業新聞11月11日)
今後の新設住宅着工戸数は、低金利に加え、住宅エコポイントとフラット35Sが第3次補正予算で復活予定となり、2012年は持ち直しが進んでいくと期待されている。しかし、全国的に住宅需要量の構造的低減が進んでおり、住宅余剰時代に入っている。人口流入が続いている大都市以外の地方はすでに住宅需要が枯渇している。住宅需要量の構造的低減は「世帯数と住宅ストックの逆転」や「空き家率拡大」さらには「新設住宅着工戸数の減少」といった側面から長期トレンドで明確に確認され、人口減少が進む地方ほど住宅地の地価下落が先鋭化している。大都市部も、間もなく始まる生産年齢人口の減少や高齢化等で住宅需要の構造的低減を避けられず、中長期では低迷局面に移行していくと考えられる。
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