2009年の不動産価格予測 / 総論

相次ぐ不動産会社、マンションデベロッパー、中堅ゼネコンの破たんとリーマンショックに揺れた激動の08年が過ぎ、09年を迎えた。

株価、J-REITの投資口価格、一部の実物不動産価格は、08年の秋からこれまで経験したことのないようなスピードと変動幅で急落した。株価とJ-REITはリアルタイムに変動を写す鏡となる公開マーケットがあるが、実物不動産価格は取引価格がリアルタイムで解る市場構造になっていない。例えば筆者のような不動産鑑定士でも取引事例として加工できる原データの内容を把握するには取引時点と数ヶ月のタイムラグがある。したがって現時点では秋以降の下落の全容は把握できないが、ここにきて業界関係者から漏れてくる悲鳴は、不動産取引最前線で起きている事態が尋常でないことを知ることができる。

一方、昨年秋から年末にかけて政府の不動産市場活性化の緊急対策が発表され、保有株の株価下落と不良債権増加でBIS規制クリアのため貸し渋りをする地銀などを対象にした金融機能強化法も成立。07年9月立ち上げた国土交通省による「投資家に信頼される不動産投資市場確立フォーラム」の第三回目が08年10月28日に開催されたが、同フォーラムでは制度矛盾と改善策について議論が行われた。J-REITの合併・再編を促進する方向でJ-REIT制度改革の検討が進んでいる。

海外に目を転ずると世界のGDPの4.2%に相当する230兆円が金融危機や景気対策に当てられた。金融危機の震源地米国ではオバマが1月20日に大統領に就任し、300万人雇用創出を謳い、公共事業を柱に2年間で最大8,500億ドル規模の景気対策を検討している。

総悲観が蔓延する中、金融、財政を中心に景気対策が次々と投入されている。覆い尽くす悲観と幾条かの光明が混沌としたなか09年の不動産価格はどのような動きになるのだろうか、本コラムで予測してみよう。

不動産価格はグローバルに連関している。そこで地価を含む不動産価格の予測には言うまでもなく世界経済、特に米国の経済動向の分析が重要となる。まず09年の米国経済動向を予測し、当該予測と日本国内経済予測を関連付け、得られた内外経済動向予測結果を踏まえ、09年における国内不動産価格の動向予測を行う。

国内不動産価格は属するセクターにより価格変動が異なるため、下記に分類し・整理して各セクターごとに不動産価格を予測する。

  1. 投資不動産価格動向(J-REIT、投資向け実物不動産)
  2. 実需不動産価格動向(戸建、マンション、商業施設)

1、2009年米国経済動向

09年の米国経済動向は、サブプライムに始まりリーマンショックで加速した未曾有の金融収縮とその直撃を受けた実態経済悪化からどこまで抜け出せるかにかかつている。例えば、ビッグ3と呼ばれる大手自動車各社の経営危機の行方が連日のように報道されているが、危機を招いた原因は、全米で8割が利用する自動車購入ローンに金融収縮が波及した結果であり、トヨタやホンダの大幅な業績悪化は米国内の自動車ローンの機能不全で米国民が自動車を買えないからでもある。このような金融収縮は住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードローンなど家計の消費者ローン全般に波及しており、実体経済の悪化を加速している。そして金融収縮の根源は米国の住宅価格の下落である。

■米住宅価格

直近の住宅価格動向を各指標でみると下落傾向に変わりがなく、依然として事態の深刻さがが窺える。

  • S&Pケース・シラー住宅価格指数の9月は、前年比▲18.6%、前月比で▲17.4%下がった。下落幅はいずれも過去最大
  • 全米不動産協会(NAR)の10月の中古住宅販売は、前年比▲11.3%で価格は04年3月以来4年7ヶ月ぶりの低水準
  • 連邦住宅金融局(FHFA)の10月の全米住宅価格指数は前年比▲7.5%、前月比▲7.0%と低下

この状況は差し押さえ物件の放出などによる過剰在庫の積み上がりに加え、直近では住宅・金融・雇用の負の連鎖で雇用所得環境の悪化や信用収縮の影響が出始めていると見られている。

とはいえ、米政府も手をこまねいて見ているわけではない。銀行間貸借への流動性供給に始まり、不良債権買い取り、金融機関への公的資金注入の道筋を決め、米国の政策金利であるフェデラルファンドレート(FF金利)はほぼゼロ点に到達した。欧州、日本も利下げに踏み切っている。

この間の動きは迅速で、経済理論で考えられる対策は、ほぼ実行されている。さらに米国内の政治的・経済的一大イベントというべき大統領の交代が控えていおり、1月20日の就任するオバマ大統領への期待が高い。

■オバマの経済政策

オバマ新政権の布陣で特に経済閣僚に対する期待度が高い。金融危機収束担当閣僚の財務長官にガイトナー・ニューヨーク連邦準備銀行総裁、ホワイトハウスの大統領補佐官(経済担当)兼国家経済会議(NEC)議長にはサマーズ元財務長官が指名された。さらに大統領経済諮問委員会(CEA)委員長には、クリスティーナ・ローマー・カリフォルニア大バークレー校教授が指名されている。

NY連銀総裁ガイトナーの起用は米証券大手のベア・スターンズなどの大型金融機関の救済や破綻処理を指揮した経験が評価されており、クリントン政権下では財務次官(国際金融担当)を務めた。サマーズは財政や国際金融に精通した実力派で、クリントン政権で財務長官を務め、97年のアジア通貨危機などにも対処した。

クリントン色が強いとの批判もあるが、未曾有の金融危機の局面で疲弊した米経済を立て直すには新しいことをやるというより、やるべきことを着実に実行できる経験と実績が問われるため適切な人選という評価が多い。

新大統領オバマの経済政策の中身を紹介すると、まず雇用創出の目標を300万人、公共事業を柱に2年間で最大8,500億ドル規模の景気対策を検討しているが、これに加えて金融安定化に向けた最大7,000億ドルの公的資金枠の半分も残っている。

反面、これだけの規模の景気対策をやるには巨額な資金が必要でそのためのファイナンスは米国債の発行とならざるをえず、外貨準備が豊富な日本や中国が買い手として浮上するが、日本の円高基調をさらに強めることが懸念される。

景気対策の内容についてエネルギー、インフラ、教育などの分野に重点投資し、中間所得層向け減税も実施。住宅対策を最優先で取り込むことも表明。なんといってもグリーン・ニューディールと呼ばれる環境をキーワードとした新たな産業構築推進の意欲が高いのでこの方面の技術力が高い日本国内にも波及すると期待が高まっている。日本は太陽光発電、電気自動車、燃料電池など環境エネルギー分野で数多くの先端的技術を保有しており、国際競争力も高い。その故か国内株式で環境関連銘柄への注目度が高まっている。

■09年米国経済動向

ゼロ金利政策への踏み切り、1月のオバマ大統領誕生に加え、本年の年央にかけて実施される景気対策の効果等への期待から「米国のGDPは09年4~6月期までマイナス成長が続き7~9月期以降は、ゆるやかにプラスに転じる」という見方もあるが、金融危機・景気悪化の震源といえる米国の住宅価格の下落は、09年も続くと見られている。米国主要都市の住宅不動産価格の推移を示すS&Pケース・シラー住宅価格指数(10都市)の先物で下落からの反転は10年後半以降と予想されているからだ。したがって米国経済は10年後半以降に回復するという見方が多い。B/Sが毀損してしまった米国金融機関が融資を拡大するまでには数年かかるので、09年はいずれにせよ低水準の景気動向が続くと思われる。

2、09年の日本経済動向

いま日本経済の先行きに対して悲観的な見方が支配的だ。特にリーマンショックが襲った08年秋以降、急速に経済指標が悪化し、急坂を転げ落ちるように国内経済が減速している。米国睨みで連動する外需依存の日本経済としては米国経済が先に書いたようにさえないので日本経済の09年動向も低迷を強いられる。

その元凶は100年に1度といわれる金融危機の収束が見えてこないからだが、米、欧、新興国の同時不況で外需頼みの輸出が大幅に減少。円高が進みトヨタに象徴される輸出企業の壊滅的業績不振。自動車産業は部品メーカーを含め裾野が広いため、その影響は甚大で特に雇用削減が大きい。業績の下方修正はいまや輸出産業にとどまらず広範に広がっており、雇用不安、所得低下を通じて個人消費減少に波及している。

日本経済新聞1月3日の記事「09年予測エコノミストに聞く」によると民間エコノミスト15人に聞いた結果、09年は景気後退が深く長くなるという見方が大勢を占め、本格回復は10年にずれ込む見通しとなった。

株価で予測すると、年初は米国のオバマ新政権の8,500億ドル規模の景気対策への期待が膨らみ、その後は好材料出尽くしで調整され、実態経済の急落を反映する経済指標の悪化や円高などの悪材料を受けて日本株は軟調な展開が続く。やがてオバマ新政権の減税や公共投資の効果が米国の実体経済で確認され始めるとすればドルも買い戻され円高の是正も始まる年後半にかけて株価が反転、堅調に上昇していくというポジティブシナリオも考えられる。

3、09年不動産価格予測~総論~

09年の予測の前に08年の不動産価格動向の基調を抑えておく。昨年の不動産価格動向で際立ったのは、J-REITの投資口価格と分譲マンション価格の急激な下落である。J-REITや分譲マンション価格動向については後述の不動産価格各論で各セクター別に詳しく言及する。

また実物投資不動産でみると東京をはじめ大都市の投資適格地の不動産価格は、昨年までミニバブルと呼ばれるほどの活況を呈していた。ところが07年のサブプライムローン問題で見事に暗転、08年9月のリーマンショックが追い討ちをかけ、10月以降の投資向け不動産価格の下落は、不動産恐慌とよばれるほど激烈なものになっている。

不動産価格を語るとき注意しなければならないのは、国内の大半の都市や地域では、長期にわたる地価下落がいまだに間断なく続いているという現実である。この原因は地方と大都市の格差拡大の問題で、国内人口の減少や、大都市と地方の産業構造の違いに起因する。つまり人口が減少している地域と地価下落には高い相関性があり、地価下落が続く地方は、旧来型の公共工事に依存する産業構造が依然として支配的で、人口減少が大きい地域である。ペティ=クラークの法則では、「経済が発展、成長していくにつれて第一次産業から二次、三次へと対GDP比率、労働者比率が推移していく」と定義するが、成長力が高い大都市ほど付加価値や所得水準が相対的に高い第三次産業の比率が高く、一次、二次産業比率の高い地方は、安価な海外商品の購入や海外工場移転による安価な労働力などによる代替性が高いため当該産業が立地するエリアで空洞化を起こしやすい。

08年は下降基調が強まった不動産価格だが、09年の不動産価格の行方に全く希望がないわけではない。米国ではオバマ大統領が金融収縮の元凶である住宅価格の回復を重視するようだが、日本においても相次いで住宅・不動産対策が打ち出された。

マンションデベロッパー、新興不動産会社が相次いで経営破綻し、J-REITのレジデンシャル系投資法人までもが破綻するという異常事態を政府もこれ以上放置できないと受け止めたのか、税制や不動産企業等向け融資をはじめJ-REITの今後の方向性を決める諸政策が昨年末にかけて出揃ってきた。

09年に入り、これらの対策の実施段階に入るが09年の不動産価格動向への影響が大きいと思われる。各セクター別の不動産価格動向予測に言及する前に、これらの諸政策のあらましと実効性について論評する。

■不動産市況回復のための政策と実効性

政府は12月15日、「住宅・不動産市場の活性化のための緊急対策」をまとめた。過去最大の住宅ローン減税などの優遇税制による需要喚起を柱に、供給側対策として企業の資金繰り支援なども盛り込んだ。

A、税制対策の概要

住宅ローン減税は、ローン残高2,000万円までが対象で10年間で最大160万円の所得税額控除が受けられたのが、ローン残高5,000万円までに引き上げられ、10年で500万円まで控除される。ローン残高の引き上げで高額物件が買いやすくなり、住宅購入を検討している人には購入を後押しする効果はあるだろうが、新規に需要を生み出すには雇用・所得環境がかなり悪化しており、生活防衛色を強めているのでその効果はあまり期待できない。

土地譲渡益の非課税枠は、09年、10年の2年間に取得した土地を5年保有して譲渡すると1,000万円まで所得控除するというもので、売却を検討している人のインセンティブになるし、これから収益物件を購入する人にとっては5年保有後に売却という出口シナリオを描きやすくなるため不動産取引の流動化を高める一定の効果はある。

B、不動産業界向け緊急対策

  1. 住宅取得者に対しては、省エネ住宅、バリアフリー住宅などの優良住宅を取得した場合に認められる住宅金融支援機構による金利優遇(5年間にわたり0.3%引き下げ)の対象を、来年1月5日から新築だけでなく優良な中古住宅などにも広げる。また、09年度予算で優遇期間を5年から10年に延長するよう要望する
  2. 事業者向けでは、住宅金融支援機構の優良住宅への融資制度の条件を緩和し、対象を広げる。同機構は09年度までに2,500億円の融資枠を用意する。機構の融資は、マンション開発などで一定の空き地を確保する事業などが対象となる。08年度は500億円、09年度は2,000億円の融資枠を設ける
  3. 資金繰りに苦しむ中小の不動産開発業者に1社20億円程度を上限にする新しい融資制度を作るほか、日本政策金融公庫の融資システム「危機対応円滑化業務」の低利融資枠を活用し、中堅・大企業、上場不動産投資信託(J-REIT)へも融資が出来るようにする

1、については、新たに住宅ローンを借りる住宅取得者は住宅金融支援機構の固定金利ローン「フラット35」の高性能住宅向けの金利優遇制度(5年間にわたり0.3%引き下げ)を10年間に延長し、中古住宅向け「フラット35」にも性能住宅向けの金利優遇制度(5年間にわたり0.3%引き下げ)を新設する。

2、については、住宅・不動産業者の資金繰りを支援するため住宅金融支援機構に分譲住宅を建設する事業者向けの融資枠を08年度500億円、09年度2,000億円設定する。物件の開発計画を審査し政府保証をつけて貸し出す。

3、については、資金繰りに苦しむ不動産開発業者(この基準が曖昧)に1社20億円融資するというものであるが、上限20億円という額ではどれほどの効果があるのか疑問視する声が多い。J-REIT向けには日本政策投資銀行を窓口に運転資金を供給するもので通常より低金利で貸し渋り対応の融資が受けられる日本政策金融公庫の「危機対応円滑化業務」を活用する。J-REITの場合、協調融資(シンジケートローン)で借入していると、そのうちの1行がリファイナンスに応じないと、破綻リスクが高まるので日本政策金融公庫が当該部分を補完すると黒字破綻回避が可能になる。ただこの種の融資を受けると「ダメリート」の評価を受けやすいので融資導入のスキームを工夫する必要があろう。

C、金融機能強化法成立

保有株式やJ-REITなどの含み損と不良債権の増加で特に地銀の経営環境は悪化しており、BIS規制で自己資本を一定以上に保たなければならないので、保有株式の下落分の一定割合を自己資本から差し引かなければならない。このため自己資本を一定に保つには貸し出しを減らすか自己資本を増やすしかなく、このような背景から貸し渋りが増加している。

中小不動産会社の資金繰りの運転資金の融資だけでなくJ-REITでもシンジケートローンで協調融資団を組んでいるとB/Sの毀損している地銀はリファイナンスに応じられずにJ-REITの破綻リスクを高めてしまうという懸念があった。この辺のリスクを回避するのに金融機能強化法は効果がある。

このような要請から08年12月12日金融機能強化法が成立した。地域金融機関の経営が悪化する前に公的資金による資本注入を行うもので08年3月に期限切れで失効するのを復活した。12年までの時限措置とし、資本注入の申請にあたっては、旧強化法と違って金融再編や経営責任追及を前提とせず、中小企業向け融資の円滑化などを求める。

現行2兆円の公的資金枠を12兆円に増額。広範な資本増強に備え、預金保険法の危機対応勘定17兆円と合わせた公的資金の資本注入枠は29兆円に拡大した。中小企業への融資拡大につなげて信用収縮を防ぐことが、同法の復活、改正の狙いだが、不動産関連企業を巡る融資環境が改善すれば不動産市況回復も期待できる。

D、国土交通省のJ-REIT合併・再編を促す制度の見直し

J-REITは本来、インカムゲイン志向のミドルリスク・ミドルリターンの金融商品のはずで、投資口価格の変動はあるもののそのボラテリティは低いはずなのだが、現実にはボラテリティが高く、ARESレポート「世界のREIT市場08-09」によると07年11月~08年10月末の価格変動で株価の下落幅47%に対しREITの下落幅57%で株価の下落幅を上回っている。

J-REIT市場はスポンサー力のある価格上位銘柄とそうでない下位銘柄で完全に二極化しており、下位銘柄についてはPERやPBR、NAV,FFO、配当利回りなどを直近の決算短信のBS、PLからバリエーションして銘柄選択するというより、スポンサーやリファイナンスリスクなど破綻懸念を探ることにあまりにも重きを置かなければならなくなっている。J-REIT市場が誕生して8年になるが、マーケットが順調に拡大しているときは隠れていたさまざまな制度矛盾が下降・縮小マーケット局面が続いて噴き出してきた。

以下に各方面から指摘されているJ-REITの制度矛盾を列挙する。

  1. J-REIT同士で合併する時、吸収される銘柄への割り当て投資口に端数が生じると、その処理を行う手段がない
  2. 会計・税務の乖離ができない配当要件式の矛盾。例えば物件が減損対象になった場合に税務上と会計上の利益が90%以上異なることになる。法人税の課税を回避する要件として税務上の利益を90%以上配当するという法律上の規定があるため会計上の利益で配当できない
  3. 外部運用形態のため、投資主と運用会社・スポンサーの間に利益相反問題を抱えている(US-REITは86年税法改正で内部運用型を導入している)
  4. J-REITは、導管制要件から利益の全てを投資家に配当し内部留保を持たないため銀行への借入金返済原資は増資か物件売却の選択になる。増資は投資口価格が下落しているため公募増資が困難で第三者割当増資を選択すると低価格で増資をした場合、希薄化を招き既存株主の利益を毀損する。物件売却は不動産価格が下落しており選択しにくい
  5. 国内外の金融機関、外人投資家に投資家層が隔たっている(制度矛盾というよりマーケット構造の問題)

以上のような制度矛盾が破綻リスク拡大、投資口価格の高いボラテリティ、運用ガバナンスへの不信感、配当機能不全を招いており、NAVからみて投資妙味を感じてもM&Aなど機動的に行われず低株価で放置されてしまう原因となっている。

ARESなどの業界団体から制度矛盾の指摘と改善要請が政府になされてきたが、遅ればせながらこのような制度矛盾を改善する動きが進みだした。国土交通省は不動産投資信託(REIT)市場の活性化に向け、合併・再編を促す制度の見直しに乗り出しており、金融庁や東京証券取引所と協力し、合併の障害となる税制面の制約を緩和したり、上場基準を厳しくすることなどを検討する。金融庁、東証の担当者のほか大学教授や弁護士などの専門家で構成する有識者懇談会を28日に立ち上げ、具体策を詰め、来年4月をめどに報告書をまとめる。

REIT市場では資産規模や信用力で見劣りする中小銘柄の価格下落が目立つ。行政処分を受けたり破綻したりするケースも相次いでいるので市場の再編を税制や法律上の制約を緩和して促進し、市場をてこ入れする狙いである。問題を抱える下位リートを淘汰し上位リートを中心に市場を再編していく方向性と思われる。現時点で内容の詳細は分かつていないが、J-REITの今後の動向を占う上で注目される。

次回に続く

■次回記事
  2009年の不動産価格予測 実物不動産投資
      

おすすめ記事