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みずほ銀行で4月1日から表面化した一連の情報システムの障害の直接原因が明らかになった。日経コンピュータ5/6によるとATMが正常に作動しなくなった原因は旧第一勧銀の対外接続系システム(富士通のメインフレームを利用)の修正ミスだった。対外接続系のなかでRCと処理をやりとりするプログラムである。RCを接続するために既存の対外接続系のCOBOLプログラムを追加したり、プログラムを追加したが論理的な接続経路を維持するためのプログラムの記述に誤りがあった。システム統合の難しさに関わらず事前テストを充分にせず本番を迎えた責任は重い。

金融界ではシステム統合が順調に実施できるかどうかが再編のカギを握るとの見方が急速に広がった。システム部門は銀行内で傍流とされてきたが、これを契機にその重要性がクローズアップされる結果となった。

アメリカなどではこうした認識は日本より数段進んでいる。00年12月の統合で資産規模が米銀2位となったJPモルガン・チエースは統合の擬似テストを3回実施した。あらゆるリスクを想定した危機管理対策を準備していた。

日本の企業トップのIT音痴は、いま始まったことでないが、IT業界ではさらに怖い話が囁かれている。かつては世界のトップレベルにあった日本企業の大規模システム構築・運用力が低下しているというのだ。金融業界だけでなく大規模システムを支える力の衰えは、かつて大規模プロジェクトを推進した人材が引退の時期にはいり、そのノウハウを継承しているはずの人材がバブル崩壊後10年、大規模プロジェクトが激減したため育ってない。大規模システムを構築・運用できる人材は確実に枯渇しつつあるのだ。

ネットワークや電子商取引など技術環境は、ますます高度化、複雑化している。日本のIT人材は開発・運用といった下流工程に集中していた。日本企業がグローバルに世界的規模で競争していくにはITと経営戦略を同時に提案できるCIO(チーフ・インフォーメーション・オフィサー)の役割を果たせる人材が不可欠である。つまり上流工程でビジネスにITをどう活用するかが提案できる人材が必要なのだ。日本ではこのような上級SEともいうべき人材は、極少数であり、さらに大学教育の欠陥もあって即戦力の技術者はでてこない。米国や中国、インドなどの大学に頼らなければならないのが現実である。

アメリカは80年代後半から90年代にかけて景気低迷、産業の競争力の低下という悩みを抱えていたが、クリントン・ゴア政権のスーパー情報ハイウェイ構想に代表される政策転換で戦略的なIT投資で経営を革新し生産性を高め、非IT投資までひきだしその後の成長を遂げた。日本も従業員のリストラをやる前に経営者は、e-japan構想で社会、経済のシステムがどう変化するか、CRMやSCMで顧客のニーズに合った効率的低コスト経営を実現するか、意識変革と学習が求められる。

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