住宅関連企業の相次ぐ上海進出
12月12日の日経産業、同月14日の日経新聞各紙は大和ハウス、松下電工、サンウエーブ工業、YKK、INAXなどの住宅関連企業の上海など中国進出を報じている。
中国の上海は巨大な金融センターを作り、ハイテク企業が集積する。周辺には超高層ビルや住宅を林立させている。その数はこの5~6年で2,000棟といわれるが、上海では空前の住宅ブームが沸騰している。分譲マンションや連棟式住宅は構造躯体のみのスケルトン売りで内装材を含めたインテリア市場が拡大、1999年度約1兆8千億円に達した中国の住宅内装市場はその後も成長を続けている。住宅購入者は室内部分を内装会社に発注する。上海には約16,000社の内装工事会社があるが零細企業が多く欠陥工事も目立つ。大和ハウスは市場の成長性に目をつけ中国・上海に合弁会社を設立し、マンションなど住宅の内装工事を始めた。2003年度に約3億円の売上高を見込む。サンウェーブ工業は代理店の星明とショールームを上海に開店。中高級キッチンを売り込み中国の富裕層にブランドイメージの早期浸透に力を注ぐ。TOTOはすでに上海、大連で水栓金具を生産しているが2004年までに新に上海に衛生陶器の新工場を完成する予定。年間50万個の衛生陶器を生産する。都市部を中心にトイレの水洗化が進んでいるからだ。
中国では住宅は国有企業から支給されるもので所有という概念はない。市場経済化、経済開放で国有企業改革が始まり政府は国民に持ち家を取得することを奨励するようになった。住宅減税を導入し住宅購入者に所得税を全額還付するようにした。外国人用と国内用の不動産規制を廃止し外国人が住宅取得可能とした。このような国内事情が住宅ブームに拍車をかけている。反面、日本の住宅関連企業は少子化などで先行きの市場見通しは暗い。リフォーム需要で補完するとしても不透明だ。WTO加盟で巨大市場を開放する中国への進出は不可避となってきた。
■関連記事
上海住宅事情