地価下落は止まる!?
先日、テレビを見ていたら「マンションは今、買い時か?」というテーマに対し業界通が「買うべきでない。間もなく不良債権最終処理で半値になる」とアドバイスしていた。小泉総理が不良債権最終処理を本気で実行した場合、地価がどうなるか?についてはさらに地価下落が進むという見方が主流だ。
政府が不良債権処理の対象としている破綻懸念先債権にとどまらず要注意債権も実は不良債権化しており、株価が12,000円を割り銀行の体力が疲弊した状況下で不良債権最終処理を断行すれば地価はさらに下落するという悲観的見解が多い中、作者は敢えて小泉マジックに期待する(最近、改革の中味と実行力に???の小泉総理なので期待と言うより願望に近い)。
知恵者平蔵先生による骨太の基本方針の内容を見ると以下のシナリオが読める。米国が1990年代初めS&Lの不良債権処理を成功させた整理信託公社(RTC)の機構を参考にしわが国の整理回収機構の機能を拡充。さらに不良債権処理進行状況を指標化し外部から検証できるシステムを設けた。大量放出が懸念される不動産の受け皿、流通促進策として不動産投資信託を活用する。1,400兆円の世界最大規模の個人資産は4~6%の投資ファンドの高利回りに反応し不動産市場に資金が流入する。
都市再生プランの実行で容積率緩和、建築許可等行政事務の効率化短縮化が進み再開発事業の採算性が改善し大手不動産会社などの収益も拡大する。東京の交通渋滞など外環状道路の整備で解消され国際都市としての機能が充実する。その結果、悲観的将来予測は払拭され地価上昇するポイントが増加する。
上記のシナリオは改革のカリスマ小泉総理が上手く不良債権処理など負の遺産を解消し、規制緩和など経済構造改革を成し遂げれば実現可能だ。ただし地価へのプラス材料は東京都心部などに限定される。投資採算性がとれる物件は地域、個別性が限定されるからだ。反面、地方は公共事業削減、道路特定財源、補助金、地方交付税配分見直しで財源がカットされ、地方伝統産業の衰退、中国産農産物輸入、工場などの海外移転、事業所統廃合でさらに地価下落は進む。低収益部門から高収益部門へのモノ、人、金の移転はさらなる地価の二極化を全国レベルで進める。アングロサクソンの英、米でサッチャー、レーガンが成功した小さな政府、効率化・競争化モデル、新保守主義路線は日本人のDNAに馴染むのだろうか…小泉改革の行方に注目したい。
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