地方公共工事削減、大都市再生へ政府始動

ハンセン病訴訟熊本地裁判決の政府側控訴断念の総理判断は、今後小泉総理が進める構造改革の真実を問う踏絵となった。控訴するという官の論理を通していたら痛みをともなう改革の理念は世論により空中分解していた。社会的弱者を切り捨て血を流させ結局は従来の官の論理を通したということになると痛みを背負うのは常に政治の犠牲になってきた弱者で本来糾弾されるべき硬直化したこの国の陰険な行政機構が守られてしまうからだ。

小泉内閣が唱えてきた財政、経済の構造改革もどうやら本気らしいと感じがしてきた。道路特定財源見直し、地方交付税の配分見直し、道路公団の民営化など特殊法人改革と矢継ぎ早に方向性を明らかにしている。

国内の構造改革は今後の地価動向に大きな影響を与える。投資効率の低い地方の放漫公共工事を削減し、大都市の再生をはかる、つまり地方から大都市へという財政配分の明確な転換は都市再生による地価下落抑止効果に政府の狙いがある。

25日の日経新聞は、財務、国土交通の両省が都心部の公務員宿舎敷地を民間に売却し商業施設を備えた高層マンションの建設など大規模開発に乗り出す意向であることを報じている。

このなかで土地を落札した民間事業者は東京都などが作成した都市計画に沿って再開発事業を進める。都市計画は容積率の緩和などが盛り込まれる。先の政府与党による緊急経済対策に盛りこめられた都市再生対策がいよいよ始動した。

■関連記事
  都市再生と地方の反乱
      

おすすめ記事