中古戸建住宅の流通市場
中古住宅の流通量は米国の年間400万戸に対し、日本は15万戸と市場規模が小さい。おまけに中古戸建住宅のマーケット価格は最近、低迷している。国内の中古住宅流通市場の特性として建替え周期の短さが指摘されている。木造で20~30年で建替えられている。戦前は、木造住宅も躯体が強固なものが多く、かなり長期間使用されていたが、戦後、特に高度成長期は、社会変化が激変するため設備や間取りが陳腐化し居住ニーズにすぐ合わなくなるため短期間で使い捨て状態になった。欧米の住宅が45年~70年程度の建替え周期を持ち大事に使用されてきたことと対照的である。
中古住宅のマーケット価格は、取引事例比較法または簡易原価法が主流で、収益還元法は、賃貸を当初から想定して建てられた投資用物件たる賃貸アパート、マンションと異なるため馴染まない。木造の場合、大体20年程度の経過年数で建物価格はなくなる。売買契約時にも業者や売主はまだ建物に市場価値が残っていても建物価格を計上せず、「現状有姿のまま」の特約をつけ建物価格をゼロとして後腐れがないようにしたがる。
今後は中古住宅の価格査定法が変わる可能性がでてきた。「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」と住宅性能表示制度の創設である。品確法では10年間の瑕疵担保責任が全ての業者に義務づけられた。構造上の欠陥だけでなく屋根、外壁からの雨漏りも10年間とされたため構造体の欠陥、手抜き工事による住宅の従来の短命化が相当カバーされる。建物の長寿命化の進行により、従来の中古住宅の価格査定法も変わり、建物価格を一律に経年減価する従来方式から住宅性能表示制度に近い個別の価格査定が普及すると思われる。
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