不動産金融工学
金融工学とは
金融工学とは、21世紀の経済に重要な位置を占めると予測されている先端的領域であり、オプション、デリバティブ、スワップなどの金融とともに、確率過程、偏微分方程式、などの難解な数学とコンピュータが寄与する世界である。この分野は金融資産運用の理論研究、金利変動の予測などを行い、より収益が高くリスクが低いものを求めるものである。海外資本がこれらを武器に日本に上陸してくることもあって、この分野では遅れているといわれる国内の金融、証券はこの分野を充電し、新規商品を開発している。
不動産金融工学
不動産証券化の流れのなかで収益価格算定の際、DCF法が用いられる機会が増加している。不動産取引、金融機関の融資などでその不動産から将来得られると予測可能な将来のキャッシュフローを重視した手法が適切であると認識が深まっている。DCF法の基本的考えは不動産価格は年々のインカムゲインと元本からのキャピタルゲインを合計したものである。
しかし最新の不動産金融工学では、DCF法に内在する恣意性を問題とする。つまりキャッシュフローの把握、現在価値に割り引く割引率などが恣意的シナリオで左右されてしまう可能性が高い。不動産金融工学では、DDCF法を採用する。DCF法をより動態化した新しい収益還元法で不動産価格の時系列データに基き不動産価格の確立過程モデルを設定、構造的モンテカルロシュミレーションと呼ばれる数万パターンの予測キャッシュフローを計算させる。不動産金融工学は、不動産の領域に金融工学を導入し、不動産投資分析、投資評価に必要な不動産投資理論を科学的に解明する学問的領域であり、オプション、デリバテイブ、スワップなどに利用されていた金融工学を不動産に適用するものである。不動産投資信託において不動産収益を基にした不動産投資信託の株価換算価値、投資に対するリスクマネジメントなどに活用されると期待されている。
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